今回のトピックは「お弁当」です。 お弁当 = lunchbox/lunch box と聞くので「今日はお弁当を食べた」というのを I ate lunchbox today. と言っていませんか。それ微妙に違います。この文は厳密にいうと「お弁当箱を食べた」です!笑
以前、英会話がすでにかなり出来る生徒さんが、このように話しているのを聞いて、Oops! となったことがありました。では「お弁当を食べた」は英語で何ていう?
そもそも、日本でいうお弁当にぴったりの単語はあるのか?もしないとしたら、どんな言い方が自然なのか?ということを、関連表現や、お弁当にまつわる自分のアメリカでの体験を含めてお伝えします。
目次
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lunchbox / lunch box の意味
まず「ランチボックス」ですが、ランチが入っている箱だから lunchbox / lunch box = お弁当なのか!と納得している人が多いようです。lunchbox をロングマン現代英英辞典で調べてみると、
" a box in which food is carried to school, work etc. "
学校や職場などに持っていく食べ物が入った箱、と書いてあります。
lunchbox 「お弁当箱」は lunch(ランチ) + box (箱)が合わさった単語ですが、重要なのは後ろの語 box であり、ランチの箱です。なので、お弁当の中身の意味では lunchbox ではおかしいですよね。
アメリカでは普通 lunchbox というとこれを思い浮かべると思います。
(主に)子供が食べ物を入れて持っていくこのバッグです。食べ物が直接入っている日本のお弁当箱とは違い、ジップロックに入れたサンドイッチやフルーツや、飲み物などを入れてそのまま取手を持って運べるタイプのものです。
お弁当の箱(器)ではなくその中身を言いたいときは
では、お弁当を 箱(入れ物)に入ったランチ と考えたらどうでしょうか?
box「箱」 の後に ed をつけて boxed とすると「箱入りの」「箱詰めの」という形容詞になるので「箱入りの」+「ランチ」で boxed lunch = お弁当の意味になります。ed をつけて「箱入りの」とはせずに、そのまま 「箱」+「ランチ」で box lunch でもOKです。
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普通に使われている「お弁当」の言い方
でも!ここまで言っておいてなんですが w 私は boxed lunch よりも別の言い方をよく耳にしました。
カリフォルニアでの秘書時代、お昼の時間に私は同僚の女性カーメルをよくランチに誘いました。
カーメル、ランチ食べに行かない?
ごめん、今日はお弁当を持ってきたの。
日によっては
* I brought a packed lunch.
なんて言っていました。
日本語のように「お弁当」という特別な単語があるわけではなく、自分のランチ my (own) lunch とか パック入り(詰めた)ランチ a packed lunch、などのように表現するのです。そして特に lunch という単語が入らなくても OK。
*I brought my own food. 自分の食べ物を持ってきた。
* I’ve brought something to eat. 食べるものを持ってきているんだ!
でもいいですね。これもまた日本語的に言えば「お弁当」のことです。
私が見たアメリカのお弁当と日本のお弁当の違い
では何故「お弁当」のような特別な単語がないのでしょうか? 私の考えでは、ランチ一食のために時間をかけて見栄えに気を配り、栄養のバランスも考えた「お弁当」というのは、日本独特の文化なのだと思います。
かなり昔の話になりますが、ホームステイ先のホストマザー Judy が小学校の先生をしていて、遠足に引率として同行させてもらったことがありました。アメリカの小学校の遠足が、どのようなものなのか見てみたかったからです。
そしてそこで見た小学1年生のお弁当におったまげ!
スライスハムとスライスチーズ数枚がパンの間にイン!The End! w
レタスとかトマトなどはなし。または、ピーナッツバターとジャムを塗っただけのサンドイッチ。これにポテトチップ1袋、クッキー数枚、バナナ、りんごのどれか、または複数をプラスしたランチを持ってきている子がほとんどだったのです。
これって3分なくても作れますよね? 素晴らしい!笑
そのあとに進学したマサチューセッツの州立大学には cafeteria 学食がありました。美味しくて安いランチを提供していたけれど、節約のためにお弁当を持ってきている学生もかなりいて、皆、揃ってこの3分サンド。笑
たまに栄養バランスを考えたのか?人参スティックをポリポリ食べている学生も見かけましたが、スティック状にもなっていない1本の人参をゴロンと袋に入れてきてそのままかじっている人もいて、豪快だな〜と。
聞くと、自分で家を出る前にササっと用意してきているらしい。お母さんに作ってもらったとかいう友達は私の周りには一人もいませんでした。もっとも自宅から通っている生徒がそもそも少なかったのですが。
お弁当がまるで、母親の愛情の証であるかのような文化は、アメリカにはありません。ランチといったって、たかが毎日食べる食事のうちの1回です。食べやすく、さっと済ませられるのがポイントで、栄養云々とか、彩りがどうとか大して眼中にない。
一方でニッポン🇯🇵
子供が2歳半の時にニューヨークから引き上げて帰国したのですが、東京で当時通っていた保育所で遠足があり、初めて息子にお弁当をもたせた時のこと。保育士さんとの連絡ノートに、その日の夕方「息子くんのお弁当は地味ですね〜」の文字を見た時の衝撃!笑
じ、ジミ…
そこで朝作ったお弁当をイメージしてみたら茶色一色だった!
あ、そうか!カラルフにして、小道具でデコレーションするのがニッポン式弁当かぁと気づきましたがもう遅い。息子も「今度からぼくもタコちゃんウィンナーがいい!」と。あぁ、これだから日本のお母さんは大変だ。
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doggy (doggie) bag = 犬のバッグ???
大学を卒業して働くようになってからは、会社のランチタイムに、前夜にレストランで食べきれなかった残り物を持ってくる人を見るようになりました。通称 doggy bag です。
まず、アメリカの外食は、量がハンパなく多い。馬のエサか?と思うようなサイズで出てきたりします。とてもふくよかな私のホストファミリーでも食べきれないくらい。
そこで残ったもの ”leftovers” を持ち帰ります。お店のスタッフには残りものを入れる容れ物を持ってきてほしい場合には、
- Could I get a doggy bag?
- Can I get a to-go box, please?
- Can I have a container to take this home?
お店の人にやってほしい場合は
- Could you wrap this up for me?
- Could you put this in a container/box?
とお願いします。
ここでdoggy bagという言葉を初めて聞いた時の体験談
渡米後間もない頃に、ホストファミリーが近所にある日本食レストランへ連れていってくれたことがありました。私が注文したのは、骨つきの鳥の照り焼きです。(←本物っぽくない w )案の定ものすごい量で、最後の3つ4つは食べ切れませんでした。
ホストマザーの Judy が店員さんに、doggy bag を持って来て、とお願いすると、ウエイトレスさんが白い小さな箱を持って来て私の前に置きました。
えっ doggy bag?なにそれ? ワンちゃんの袋???犬にあげるのかなぁと考えました。ホストファミリーは大の犬好きで、家の中でグレイトピリニーズという大きな犬を2匹飼っていたんです。
犬が骨をおしゃぶりして遊んでいるいるイメージが浮かんで、あぁそうか家の犬にあげるのか!と私はお皿に残った骨も全部箱に詰めました。
この時日本人のウエイトレスさんが、私をジロジロ見ていることに気づいていたのですが、なんだかよくわからないことばかりのアメリカ生活スタートだったので、まぁいっかぁと気にしませんでした。
家に帰ってから Judy が “ Yoko, the doggy bag is not for our dogs.”(ドギーバッグはうちの犬用じゃないわ)と笑顔で言いました。
えっ!!!!!!!!!!!!
食べ切れなかった残り物を持ち帰る容器のことをdoggy bag と呼ぶのだと教えてくれました。
それにしてもいつも本当に優しいホストファミリー。きっとウエイトレスの前で指摘すると、私が恥ずかしい思いをすると思って何も言わないでくれたんだわ。涙
そして最後になりましたが、 日本通の人々の間では、そのまま bento でも通じます。そして箱に入ったお弁当のことを中身も含めて bento box と呼んだりもします。この意味では、同様に画像のような中身の入った状態のお弁当を lunch box と言うこともあります。
「お弁当」まとめ
お弁当 = 詰めたランチ = boxed / box lunch = packed lunch または my lunch、とてもシンプルです。
アメリカのお弁当は、私の経験ではお母さんが必死な思いで作るものではありません。さっと準備できるサンドイッチや、前日の晩ご飯やレストランでの残り物 leftovers を pack した簡単で食べやすいものが主流です。
見栄えが重要な日本のお弁当は、人の目にどう映るか、ということが常に人々の意識の中にある日本文化に深く関係するものだと思います。美味しそうに見えないお弁当はNG。それに比べて、合理的であることが大事なアメリカでは、作る手間の少なさ、食べやすさに重点が置かれています。
作るならアメリカ弁当、食べるなら日本のお弁当がいい。笑
Twitter で英語学習者向けに英語表現などを発信しています。 @ezeigo2019