「よろしくお願いします」と英語で言いたくて困ったことはありませんか。「よろしくお願いします」に様々な意味が込められた日本語と違い、英語には1フレーズで万能に使える言い方がありません。
英語で「よろしくお願いします」と言うには、シチュエーションに依って何を伝えたいのか、気持ちを具体的に言葉にしていく必要があります。そうすることで「よろしくお願いします」のニュアンスが伝えられるので、場面に分けて例文と共にご紹介します。
在米日系企業の秘書をしていた時に「そこんとこよろしく!って言って」と通訳を頼まれた私が英語でどう言ったのか、という話も書き添えました。
目次
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「よろしくお願いします」の意味って?
そもそも日本語の「よろしくお願いします」とはどういう意味なのでしょうか。 考えてみるとかなりフワッとした曖昧な言葉ですよね。例えば、初対面の挨拶としての「よろしくお願いします」。これは具体的にどういうことなのでしょう。
また、何か依頼をして「よろしくお願いします」と添える時、これは初対面での「よろしくお願いします」とは違います。まず知っておくべきことは、日本語圏と英語圏の文化的な違いです。
日本では、基本的に相手の言わんとすることを察する文化なので「よろしくお願いします」のような曖昧な表現が様々な場面で使われ、問題なく理解されるのに対し、英語にはそのような曖昧な言葉はなく、意味するところを具体的に伝える必要があります。
では「よろしく」と言う時には、具体的にどのような気持ちが込められているのでしょうか。
ざっと考えると「よろしくお願いします」には、初めて会った人へのこれから良い関係を築いていきたいという希望や、相手への感謝、承諾して欲しいという気持ち、何かを頼む時の丁寧なお願い、人に自分からの挨拶を伝えて欲しい、などがあると思います。
これを場面ごとに分けて、考えていきましょう。
初対面での挨拶「よろしくお願いします」
人に初めて会った時
初対面での「よろしくお願いします」
B: Nice to meet you, too.
B: Pleased to meet you, too.
B: Pleasure to meet you, too.
A:「初めまして」「お会いできて嬉しいです」という言い方が「よろしくお願いします」に一番近いです。2つ目と3つ目は少し丁寧な言い方です。
B: これを先に相手に言われた場合には、後ろに too をつけてと返すと「こちらこそよろしくお願いします」となります。too って便利ですね!
別れ際
初対面の人に別れ際に言う「これから(今後とも)どうぞよろしくお願いします」は、
「お会いできて嬉しかったです」と表現することで伝わります。
そう言われた側の返事としては、
少し丁寧にいうと、
また、上記の “Nice meeting you, too. “,” It was nice to meet you, too.” の前半を省略して、
という言い方もあります。
Nice to meet you. と Nice meeting you
ところで、一見似ている Nice to meet you. と Nice meeting you. ですが、Nice to meet you. が「初めまして」と出会って始めに使われるのに対して、Nice meeting you. は「お会いできて嬉しかったです」と、初めて知り合った人と別れる時に使われることが多いです。
また、別れ際の It was nice to meet you. の It was を省略して Nice to meet you. ということもあります。
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「よろしくお伝えください」
○○さんによろしくね、よろしくお伝えください、と頼む時の場面を考えてみます。
Say hello to ~
「◯◯さんによろしくね」というのは、Say hello to + 人 を使って「○○さんに Hello! と言っておいてね」とします。
おじいちゃんによろしくね。
私から、と入れたければ for me をつけます。
おじいちゃんに私からよろしく言っておいてね。
hello の代わりに hi でも構いません。
おじいちゃんによろしくね。
文頭に Please をつければ「よろしくお伝えください」となります。
Tell ~ (that ) I said hello
「私が Hello! と言っていた、と〜さんに伝えて」の言い方でも同じです。
彼によろしくね。
said を現在形の say にしてもたいして意味は変わりません。そして that は省略可能。
Give ~ my regards / Give my regards to ~
他にも、”hi” というほど親しい間柄ではない人に、よろしくと伝えて欲しい場合には regard(敬意の念)を使って、give my regards to 人/ give 人 my regards 「私から敬意の念を送ってください」と言います。
• Please give my regards to your parents.
• Please give your parents my regards.
ご両親によろしくお伝えください。
返事のしかた
こうして「よろしく伝えてください」と頼まれた時の返事は、
はい、伝えます。
もちろんです。
はい、ありがとうございます。
と答えればOKです。
○○さんがよろしくと言っていました
今度は、これを頼まれた人が本人に「◯◯さんががよろしくって」と伝えるには、シンプルに「◯◯さんが Hello! と言っている(言っていた)」とします。
ジェシカがよろしく言ってたよ。
少し距離感のある regards を使った文では「◯◯が regards(敬意の念)を送っている」として次のような言い方もあります。
Jessica sends you her regards.
先ほどと同様に send を過去形の sent にして「送っていました」でも良いです。
お願いごとをする時の「よろしくお願いします」
次に、頻度としてとても多いのが、何か依頼をして「よろしくお願いします」と添える場合です。
この場合はシンプルに、
ありがとうございます(よろしくお願いします)
というのが一般的です。日本人的には、サンキューだけでは何か言い足りないような気がするかも知れませんが、これでOKです。感謝の気持ちを伝えることが「よろしくお願いします」の意味にもなるからです。英語ってシンプルですね!
文脈にもよりますが、何に対する感謝なのかをもう少し具体的にして、
(これを)やってくれてどうもありがとう。
対処してくれて(引き受けてくれて)ありがとう。
としてもいいですね。
お願い事をするときの例文
それでは次に、お願いをして「よろしくお願いします」というニュアンスも含む例文をあげてみます。
よろしくお願いします(直訳 とても感謝しています)
ご協力よろしくお願いします。(直訳 ご協力ありがとうございます)
ご協力よろしくお願いします。(直訳 ご協力に感謝します)
ご協力よろしくお願いします。(直訳 ご協力に感謝します)
ご理解のほどよろしくお願いします。(直訳 ご理解ありがとうございます)
ご検討よろしくお願いします。(直訳 ご検討ありがとうございます)
ご検討よろしくお願いします。(直訳 依頼を検討下さりありがとうございます)
よろしくお願いします(直訳 予めお礼を申し上げます)
↑この言い方には注意が必要です。
すでに相手が自分の要望を受け入れている場合には構いませんが、相手がまだ決めていない時点でいうと、押し付けがましい感じにもなります。
因みに、チャットなどの略語では最初の文字を取って、
TIA = Thanks in advance.
と表します。こちらも相手の了承を得ずに使うと失礼になるのは同じです。
そのほかにビジネスシーンで使えそうな「よろしくお願いします」は、
添付ファイルをご確認のほどよろしくお願いします。
お手数おかけします(がよろしくお願いします)
ご迷惑をおかけしますが、ご協力のほどよonclick="ga('send', 'event', 'linkclick', 'click', 'hoge');"ろしくお願いします。
I’m sorry for the inconvenience caused.
ご迷惑をおかけし申し訳ありません。
inconvenience は convenience 「便利さ」の反対語で 不便、面倒、迷惑 の意味。典型的な謝罪文でよく使われます。
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ビジネス場面での「よろしくお願いします」
初対面で
仕事上初めて会う人への挨拶は、前出の初対面の挨拶に加えて「一緒にお仕事ができて嬉しいです」の気持ちを伝えます。
look forward to ~ 「〜するのを楽しみにする」を使って「よろしくお願いします」の気持ちを表します。
• I look forward to working with you.
• I’m looking forward to working with you.
これから一緒に働くのを楽しみにしています。
• I look forward to working for your company.
• I’m looking forward to working here.
この会社で働くことを楽しみにしています。
• I look forward to working with you on this project.
• I’m looking forward to working with you on this project.
このプロジェクトでご一緒できることを楽しみにしています。
I look forward to (現在形)と I am (I’m) looking forward to (現在進行形)の違いは、進行形の方が若干カジュアルな響きになります。
よくある間違いとして、look forward to の後に work(現在形)を持ってきてしまうことがありますが、to は前置詞なので後ろは working (動名詞)です。
x I look forward to work with you.
◎ I look forward to working with you.
御社と取引ができることを楽しみにしています。
あなたと一緒に働けることを楽しみにしています。
look forward to を be excited(ワクワクする)ともできますが、くだけた言い方です。
お願いごと、依頼をする
何かの仕事を依頼をして「よろしく」という時にも、感謝の気持ちの表れなので “Thank you.“ がふさわしいです。
頼みごとをする時の丁寧な言い方を使って、
メールで資料を送っていただけますか。よろしくお願いします。
メールで資料を送っていただけますか。よろしくお願いします。
と、お願い事を具体的に言ってから Thank you. と添えることで「よろしくお願いします」のニュアンスが出せます。
打ち合わせ、ミーティング
ミーティングを始める時の挨拶
お越しいただきありがとうございます。
お時間を作っていただきありがとうございます。
お時間を作っていただきありがとうございます。
ここでも感謝の気持ちを述べることで「どうぞよろしくお願いします」の気持ちを表現することができます。
相手にこうを言われたら、
お招きありがとうございます。
と返すとスマートです。これは人の家に招かれた場合にも使えるフレーズです。
メールの締めくくり
メールで要件を書き終えてから伝える「よろしくお願いします」
• I appreciate your continued / continuous support.
• Thank you for your continued / continuous support.
これからもよろしくお願いします。
continuous よりも、continued support の方がよく使われます。
今後ともよろしくお願い致します。
返信をよろしくお願いします。
文末に
「敬具」にあたる締めくくりには多くの言葉がありますが、ここにも「よろしくお願いします」の意味が含まれています。
- Best Regards / Best wishes
- Sincerely / Sincerely yours
- Yours truly
- All the best
- Thank you very much.
社長秘書時代に通訳するよう言われた難題
アメリカの大学を卒業後、某日系企業で社長秘書として働いていました。社長は日本人、社員は現地スタッフをはじめとする様々な国籍の人たち。私は秘書兼通訳のような役割をしていて、日頃から社長のジャパニーズ発想満載な日本語を英語に訳すことに苦戦していたんです。笑
ある時、社内ミーティング後の別の用事へ急いでいた社長が、ミーティング途中で会議室を後にすることになり「もう行くから◯◯に、そこんとこよろしくって言っておいて」と私に耳打ちして行ってしまいました。そこんとこって… 一瞬ひるみましたが、私の口をついて出てきたのは “He’s counting on you. He said “Thanks! “でした。
この時、社長はこの◯◯さんに「この件は君に任せた、頼りにしているよ」と言いたかったはずなので、count on + 人「人を頼りにする」を現在進行形で He’s counting on you. として、その後に感謝の気持ち Thank you.と続けることで、あの場面での「そこんとこよろしく」を伝えることができたと思います。
「よろしくお願いします」まとめ
言葉は文化に深く根ざしたものなので、抽象的な概念はなかなかぴったり当てはまるものがないことがよくあります。その一つが今回の「よろしくお願いします」でした。
こうして「よろしくお願いします」を使う場面を考えてみると、その多くは感謝の気持ちを表す Thank you! で足りること多いのがお分かりいただけたかと思います。それにしても「よろしくお願いします」って便利な言葉ですね!
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