数年前の年末にボルネオ島に行きました。ボルネオ島と言ったら= ジャングル。そこで一夜を明かした体験記です。
ペナン島出発前日に連絡したコタキナバルのトレッキング専門会社に、ジャングル1泊のトレッキングツアーを組んでもらい、詳細は現地で打ち合わせってことでゴー!
人生で一番寒くて、怖くて、トイレに行きたくて... でも動けずに、木に吊るしただけのハンモックの上で、どしゃぶりの雨の中、ひたすら夜明けを待つという拷問体験。
あんなに「忍耐」を強いられたことはなかったのに、めっちゃ面白かった!... と旅が終わってから思う。笑
当時のツイートから抜粋したものを、アレンジしてまとめました。
目次
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ジャングルトレッキングスタート
マレーシアボルネオ島の先住民族の一つ、ドゥスン族のガイドさん+13歳息子+私、の3人で1泊2日のジャングルトレッキング行ってきた。鼻血出そぉ〜なほどエキサイティングな体験でした!
ボルネオ島サバ州の首都、コタキナバルからピックアップトラックで2時間くらいキナバル山方面へ行き下車、脇道からジャングルに入る。この時点でまわりに人も車もゼロ。
「食料や水は自分たちで運んでもらうので、45リットルサイズのバックパックで来て」と言われ、萎えた。ちなみに普通サイズのバックパックは、20リットル前後 …
トレッキングが好きなくせに、全然慣れていなくて、ハッキリ言って歩くだけでシンドイ。
最初に「私、体力ないんで easy なトレッキングを」とお願いしたら「easyな(易しい)トレッキングというのはない。safer(より安全) になら出来るけど!」と言われた。そうっすか。笑
一面緑の中に入り、川の音が聞こえてくる方へトレイル(小道)のない中を、鉈で枝を切りながら進んで行く。道のないジャングルを歩くのって、かなり時間がかかる。
ガイドさんは常に息子に行き先を選ばせる。
こっちに行けば近道だけどかなり急、向こうは遠回りだけど緩やか、どっちに行く?と。
敷かれたレールの上を行くのでないところがイイ。
小1時間も歩いたところで、ゼイゼイ息が切れ始めた。先を行くガイドさんと息子が視界から消えると、焦って早足で追いつこうとして転んだ。
しばらくして視界が開け、小川に出た。道のないジャングルを進むのとは違い、水の中を歩くのは気持ちがいい。
アチャー!上流目指してジャブジャブと上っていた時に、後ろ向きにひっくり返ってズブ濡れになった。初っ端からどんくさい母。笑
ジャングルの中を歩く
ジャングルにはガイドさんの知る限り、120種類以上の生姜が生えているそう。この葉っぱの形を目印に、下の根っこを切り取って引き抜く。
夜には、ジャングルに生えていた他の葉っぱと一緒にスープにして食べた。独特の香りで美味しかった。
何かの実がなっていた時に、食べても大丈夫かどうかを知るには、周りに虫がいるか、動物がかじった形跡はあるか etc. を見るそうだ。
これはマンゴスチンの仲間だそうで、ひと口食べてみたけど酸っぱ過ぎて口がひん曲がったヨ。
トレッキング開始地点ではかなり見た。
『天然ゴム』というと = マレーシアだと思っていたけれど、元々はブラジルから来たものだとか。
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寝床を作る
開始から3〜4時間歩いたところで雨が酷くなってきた。川の水が増えてきたので、陸へ上がりキャンプを張る。
ハンモックの上にかける屋根『タープ』を張る紐は、そこいらの木から垂れ下がっているツルを切って使う。
地面に立てる棒もジャングルから枝を切って調達。ハンモックは百均にあるようなビニール紐で作ったローカル製品。
ガイドさん、息子、私、それぞれのハンモックを少し離れた場所に吊るす。
エッ、これ真っ暗になったらちょっと怖いな…
宿の用意が出来て、フと後ろを振り返ると … ギャー! 歩いてきた川が大雨で増水ちう。
すごいことになってきた。ハンモックを吊るしたところからすぐそこ。
「こっちまで水が上がってきたらどーしよー!」とガイドさんに言ったら、「うん、そしたら困るね〜」とニコニコ余裕。あ、そんなもんですか。笑
「靴を地面に置いておくと、クモやアリや他の unwanted guest (望まないゲスト)が明日の朝入ってるから、木にかけておいてね」とガイドさん。
3人分のハンモック+タープを設置してから、キャンプファイヤー用スペース上にもタープを被せる。雨が止まずキャンプファイヤーのまわりも水浸し。
木が濡れていて火がつかないので、まずは切ってきた枝の表面を鉈で削る。それから、中の乾いている部分を火にくべる。
ガス栓をひねれば、すぐそこに火がある日常とは大違いだ。
こうして一晩中火を焚き煙を出すことで、ジャングルの動物や様々な虫が近づきにくくなるらしい。
でも、ヘビの種類によっては火のある方へ寄ってくるものもいるので、小さな炎にしておくのがポイントだそう。
完全に日が落ちた。時々キャンプファイヤーをチェックするガイドさんのヘッドランプ。
ライトなしでは、すぐ目の前のものも見えない。真っ暗闇とは、こういうこと。
彼のヘッドランプは、後ろ側にも赤いライトがついているジャングル仕様。
ご飯を食べながら、ガイドさんの話を聴く。
夜ジャングルで用を足している時に、危うくパイソン(ニシキヘビ)を踏みつけそうになったことがあるそう。2メートルはある太いヤツ。オシッコひっかけちゃってたんだって。笑
… っていうかそんな蛇がいるわけですか …
聞いたら、他にも多くの種類のヘビがそこいら中にいるらしい。そういえば、日中トレッキングでジャングルを歩く時は、手にしている枝で倒れている木や石の陰などをコンコンと叩きながら進んで行った。
"Knock!Knock!のJungle greeting." とか言ってたな。
ここで、息子のガクブル関心ごと → ヒョウは出るのか?をガイドさんに聞いてみた。
… 彼はクマにもヒョウにもこのジャングルで遭遇しているらしい。
「でももっと奥の方へ行かなけば、いない」と。
「地元のハンターが射止めたヒョウの肉を食べたことがあるけれど、美味しくなかった」そうです。
『もっと奥へ行かないと』って、ジャングルは繋がってますよね … 聞かなきゃよかった(汗)
ジャングルの夜
ジャングルの夜は恐ろしく、長く、寒く、全く寝つけず。
昼間のトレッキング中に川で落ちて、キャンプを張ってから着替えたものの、土砂降りの雨でまた髪から靴下までびしょ濡れになった。もう着替えはない。
ハンモックの上に一応カバー(タープ)があっても、ここまで大雨だと全く意味がない。全身ズブ濡れ。
んで、ジャングルの夜の激しく下がった気温で、濡れた冷たい服がピッタリ体にくっついてガタガタ。何の罰ゲームだ …
トイレに行きたくて爆発しそうなのに、ハンモックから地面に下りる勇気がない。クマ … ヒョウ … それにこの真っ暗闇の雨の中、茂みにしゃがんで、ヘビにお尻を噛まれたら … なのでひたすら我慢。
離れたところにいるはずの息子やガイドさんはもう寝たのかな。
いや、こんな中で眠れる人間がいるのか...
ハンモックに体を伸ばしていると、足が余計に冷える。
凍傷になるんじゃってくらい、濡れた服が足に張り付いてつらい。
あぐらをかいたまま前屈して寝てみたり、股関節近くのツボを押したり…
朝よ早く来〜い!とヨガのポーズでシヴァ神にお願いしてみた。
1週間くらいひたすら暗闇の中で、雨と川の濁音を聴いている気がした。
凄まじく長い長い夜だった。
まぁそれにしても私ってモノ好きだ。
こういう超 uncomfortable な体験がとてもイヤなんだけど、でも好き。笑
というか、体験中は不快感マックスだけど、それを通り越してからオモロ〜!と思う。
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ジャングルの朝
ジャングルに朝がきた。
世が明けてきて、ジャングル一帯に響き渡る聴いたことのない音にゾクゾクした。
「あの猫と鳥と虫を足して3で割ったような鳴き声は何ですか?」とガイドさんに聞くと、セミの一種だと。このジャングルには90種類を超えるセミがいるそう。
私が日本のアブラゼミの鳴き声を実演したら、「あ、それもいる!」って。
重さで位置がかなり下がった私の寝床と、ちょっと離れたところでまだ寝ている息子。
これがビニール紐で作ったハンモック。
昨日の激しく増水した川が、朝になったらこんなに穏やかになっている。
自然てすごい!
インスタントラーメンに、そこらに生えてる葉っぱを入れて野菜を補給。笑
「パンがいいならこの甘いヤツをどーぞ」と言われ食べたら、ナント!あんぱんだった。ワァーイ!
朝食後、“I have BIG business in the jungle. “と言って繁みの奥に入って行ったガイドさん。この人オモロイ。
再びトレッキング
キャンプ跡をきれいに片付け、昨日来た方向とは逆に進んでいく。
それにしても、息子がタフで驚く。
2年前の夏に、初めてベトナム北部でトレッキングをした時は「もう歩けない」と半ベソかいたのに。
文句ゼロ、ガイドさんと2人でドンドン先へ行く。
崖や川の流れが急な場所では、私に手を貸してくれる余裕。逞しい少年になったもんだ。
ボルネオ島 サバ州の先住民族
ペナン島に住んでいて、マレーシア人=中華系、マレー系、インド系 + その他少し、のように思っていたのだけど、ボルネオ島に来て認識を新たにした。
サバ州には32もの先住民族がいて、ガイドさん出身のカダザンドゥスン族は最大多数で30%、言語にすると90にも分けられるそう。
お祝い事にはお酒が欠かせないという話になり『えっアルコールNGなんじゃ?』と思ったら、飲むのはライスワイン(お酒)、宗教はクリスチャンだそう。モスリムの文化とはまた全然違うのだ。
そう言えば彼の英語は、 私がペナンで苦戦しているマレー語訛りが全くなく、とても聞きやすい。
ボルネオ島は半島マレーシアとは、また全く別ものなんだということがよくわかった。
自由旅
旅に出て思うことは『流れに身を任せ、柔軟であれ』ということ。
計画を立てない旅をすると、予期せぬことが次々起こっておもしろい。
押し寄せる波にうまく乗ると、また未知の世界へいける。
『まぁ何があってもどうにかなるもんだ』って楽観的マインドを養える。それが好き♡
世界には様々な人が居て、色んな生き方があり、選択肢は無限大だということ、
敷かれたレールの上を歩くより、自分で創造していく人生はオモロイぞ!と息子に知ってほしい。
トレッキング専門のツアーを扱う会社
川近くに張ったキャンプを後にしてからは、ジャングルをひたすら上へ上へと歩いて行った。
一睡もできず疲れてはいたけれど、途中で小さな滝に出たり、急斜面をズリ落ちながら上ったり、ボルネオ島の自然を満喫した。
数時間行ったところで、人が歩いた跡がある小道へ出た。そこが終了地点。
スタートからここまで、人っ子ひとり出会わなかった。100%のモロ!ジャングル。
既成のツアーでないジャングルトレッキングをアレンジしてもらった会社《 L.O.S.T Borneo 》社、おすすめです。
トリップアドバイザー評価 5星★★★★★ だぞン!ガイドさんは Donney (Don)さんでした。
オシマイ