現在住んでいるマレーシアのペナン島で2年前に交通事故(車両事故)に遭いました。その時の経験を当時のツイートを元にまとめ、マレーシアで交通事故に遭った場合にどのように対処すればいいかをシェアします。
(ツイッターのアカウントはこちらです@Single_Rose2003)
私の中では七不思議のひとつなんですが、マレーシアペナン島の人たちは、おっとりと穏やかでフレンドリー、他者に対してとても親切な割には、運転が超絶自己チューで雑です。笑
『ハンドルを握ると人格が変わる』というのは大げさではないです。
車線変更の方向指示器は出さないのがデフォ、車線をまたがって運転、走行中も車間距離を取らず、車のお尻にびっちりくっついて来ます。無理な割り込み、バイクの逆走、信号無視は日常茶飯事です。
車体の後ろがボコッと凹んでいる車をしょっちゅう見かけるのも、これだけギチギチに詰めて運転していたら、前の車の急ブレーキで止まれるわけないよなぁと。
目次
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事故遭遇時にやるべきこと
では結論から先に、事故に遭った時にすることを挙げます。
1)以下についての相手の情報をメモ、または写メ
- 運転手の名前
- 車ナンバー
- ICナンバー(身分証明書)
- 連絡先
- 運転免許ナンバー
- 加入保険会社名
2)事故現場の写真をいろいろな角度から撮影
自分の車だけでなく、必ず相手の車の写真も撮ること。
事故とは関係のない車のダメージを、後に相手が主張してくる場合があるらしいので必須。
3)ポリスレポート
どちらが加害者か被害者かに関係なく、最寄りの交通警察署(Traffic Police)へ24時間以内に出向いて、事故報告(ポリスレポート)を行う。
担当の警察官と面接し、どちらに非があるかの判定結果は数日後わかります。その際に加害者と認定された方が、RM300(¥7,930)を負担する。RM1 = ¥26.4
ポリスレポートは、通常は翌日に受け取れます。自分側と相手側の書類を各々RM4で購入できます。
破損がひどく車が動かない場合には、加入している保険会社へ連絡しレッカー車を手配します。ポリスレポートを作成する必要があるので、レッカー車には警察署へまず行ってもらうよう伝える。
4)保険会社へ連絡
自分側が加害者となった場合は、保険会社に連絡するかどうか決めます。
マレーシアでは、相手の車の修理代がそれほど高くない場合には、保険会社には連絡せずに自分でお金を払うことが多いようです。
事故の加害者となると、その後の No-claim Bonus (NCB) = 無事故割引が効かなくなるので、その修理代を自己負担した方が安く済むからです。
体験談 事故の経緯
それでは、事故当時の状況からいきます!
ペナン島は首都のクアラルンプールに比べるとかなり田舎で、高層ビル郡などないのですが、北東部の中心であるジョージタウンは交通量が多く、ゴミゴミしています。
ある週末の日曜日に用事を済ませ、北部海岸沿いの自宅へ戻るべくジョージタウンを運転していました。左の助手席には中学生の息子が乗っています。
Jalan Burmaというメイン通り、一方通行3車線の1番右の車線を走っていました。すぐ左側を走る車が左右にフラフラしていることに気付き、要注意だなと思った瞬間、その車がいきなりこちらへ曲がってきてガシャーン!
ちょうど右手に入る Jalan Tavoy という通りに差し掛かる寸前のところでした。左の車線から、まわりを確かめずにその通りへ右折して入ろうとしてきたのでした。
メイン通りだったので、その右の細い道へ入り車を止めて降りました。相手の車からは、ヒジャブを被った若いマレー系の女性が二人降りてきた。
「あなたは方向指示器を出さずに、いきなり右に曲がってきた」と私が言うと、「方向指示器は出したし、助手席の友達もそれを見たと言っている」と嘘を言いました。オィ!
「父親に連絡するのでちょっと待って」と彼女は言い、そこから長々と電話をし始めた。
私は、奥様がペナン出身の中華系マレーシア人である友人夫妻に連絡。
『相手が修理代を負担するのであれば、こちらでは警察は通さずに示談が一般的』と聞き、それを相手の女性に告げるもNO! とのことなので警察を呼ぶことに。
警察署に電話をかけて、事故に遭ったことを告げると、事故現場の正確な場所や、私の個人情報などをいろいろ聞かれ「これからそちらへ向かいます」と言われたので待つことにした。
その間に、相手の運転免許証を見せてもらい、車のナンバー、自分の車の破損部分や相手の車のダメージ、事故現場などをすべて写メし電話番号を交換。電話番号がちゃんと繋がるのか、その場でかけて確認。
それはそうと、待てど暮らせど警察が来ないのです。45分が経過したところで女性が「警察はもう来ないと思うので、警察署へ行きましょう」というので、各々の車に乗って、少し離れたところにある警察署へ行きました。
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警察署で
受付でまず書類をもらいます。
こちらの公の機関同様、全てマレー語で書かれているので、スマホのグーグル翻訳を見ながら内容を確認。記入は英語でOKとのことなので、個人情報や事故状況を英語で記入。
だいたいこんな内容で記入、という簡単な英語の見本が置いてあったのだけど、現場検証されていない事故なので、不利にならないように息子と相談し、説得力のある英文にするのに相当考えて書いた。
受付のマレー系のお兄さんが、私の書いた書類を一本指でモタモタとパソコンに入力。笑
担当者と面接
その後、面接官の名前や部屋番号が書かれた紙をもらい、別の階へ行き順番を待って入室。
面接官が書類に目を通した後で、事故発生状況を詳しく口頭で説明しました。渡されたオモチャのミニカーを使って事故現場を再現するなど、息子も活躍。
その際に、私の前に同じ面接官との面接を終えていた相手の女性が、私の車が彼女の車線にいきなり入ってきた、と嘘の証言をしたことを知る。オィ!
事故現場で「私は方向指示器を出した」と言っていたのはナニ????
先ほど部屋から出てきて廊下で会った彼女が「私の証言内容が気に触ったらごめんなさいね」と言ったのは、このことか...
でも、自分に非があることを認めると、色々不都合があるので、こちらでは絶対に認めないと聞いている。自分の身を守る為には仕方なかったのかも、と理解した。
そして面接官に「私の車の左前部の潰れ方と、相手の車体の右側全体の長〜くえぐれた傷の写真が証拠になるはずです」と写真を見せようとしたら、「車のダメージ写真は、署のカメラマンがすでに撮影済みなので、見なくていい」と言う。
ハ?撮影してませんけど?私の車は警察署の外の通りに停めてありますが?テキトー言うな!笑
こういう謎のテキトーさが困っちゃうマレーシア生活なので、ひょっとしたら、もう結果ありきの面接なのでは、と心配になる。相手マレー系、警察マレー系…
そして私のスマホにある写真を、目の前の面接官のスマホへ送ろうとするも、なぜか送れず。(結局その日の夜遅く、自宅へ戻ってから送信した。)
数日後には結果が出るので、再び警察署へ来るよう指示され、「でもあなたは7割の確率で加害者にはならないので心配しなさんな」と。
そして「ドライブレコーダー(車載カメラ)さえあれば、簡単に判定できるんですよ。すぐにでも取り付けてくださね」と言われる。
帰り際に、
と笑って聞いたら、”Sorry, we are very busy.”と。
面接に行く前はかなり緊張したけれど、終始和やかなムードの中で行われ笑いもあり、さすがマレーシア!と思えるものだった。
後で知ったのですが、マレーシアではよほどヒドイ車両事故でない限り、警察は現場に来たりしないそうです。なら「これから行きます」とか言わないで!本気にするじゃん。笑
その後
後日再び警察署を訪れ、ポリスレポートを入手。マレー語で書かれていて内容はわからないものの、そこには『RM300』の記述が!!
判定で負けた方がRM300支払うと聞いていたので、慌てた。近くにいた中華系の女性に助けを求めたら、書類を読んで『RM300支払うようにと書いてあります』と言うではないの!
エッ?私が被害者なのに?と簡単に説明すると、彼女も車をぶつけられたのに加害者にされたそうで「この国では、そのようなことがよくあるんですよ」と(汗
念の為聞いてみましょう、と彼女が窓口に一緒にいって確認してくれたら、中の人が「いや、それは相手側の過失という意味です」と言ったので、心底ホッとした。
無罪確定!
親切に助けてくれたその女性によくお礼を言い、晴れやかな気分で警察署を後にした。
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車の修理と保険会社と
週末だったので、後日保険会社に連絡を入れ、保険会社指定の修理場へ運転して行き、保険申請のための書類を記入。事故車の写真を撮ったり、えっらく時間がかかった。
驚いたことに、修理に必要な部品の交換について、自動車メーカーの純正部品が保険でカバーされるのは、製造年度5年以内の車のみ、と。それより古い車に関しては、サードパーティ製の部品。
メーカーの純正部品を望む場合は、年数によって何割か自己負担になり、私の車は7年前製造なので25%は自分持ちになるとのこと。具体的な金額は、のちほど調べてお知らせします、とのことだった。
と言ったのだけど、「法律なので」とバッサリ。まぁそうだわな… スミマセン、ちょっと聞いてみただけ。
そこで純正品とサードパーティ品の違いを聞いたら、「まぁ似たようなもんですよ」と言ったあとで「あぁでもやっぱりクオリティがですねぇ…」と語尾がしぼんだ。笑
そして更に、
- 相手側の保険会社と連絡が取れてからでないと、車の修理はスタートできない
- いつ確認がとれるのかはわからないので言えない
- 確認が取れてから修理を開始し、最低1週間はかかる
- その間のレンタカー/タクシー代は100%は保険で保証されない
- いくらまで保証されるかは現時点ではわからない
- 週末の車代は完全自己負担 etc.
… と告げられて、暗澹たる気持ちに。
マレーシアでは『当たられ損』といわれるのいは、こういうことかと。
最終段階
この後、何度も何度も保険会社に連絡したり、修理場へ出向いたり、相手の保険会社へ電話を入れたりを繰り返し、仕事をキャンセルしないとならないことが続き、被害総額は知れず。
何が一番きつかったかというとコレですね。シングルマザーの自営業には、一番痛い。
結局、事故に遭ってから車が直って戻ってくるまで16日かかりました。幸い純正部品の自己負担額はRM100(¥2,640)で済み、立て替えたレンタカー代は、相手の保険会社への数回に渡る電話依頼&催促を経て、数カ月後に全額支払われました。
一番のデメリットは、ものすごい時間と労力がかかったことです。
そして、今回の事故を通して学んだ一番大事なことは『ドライブレコーダーをつけよ』です。マレーシアで運転される方、必須ですよ!
最後に、当時のツイートにこんなのを見つけました。
もしママがあのマレー女性の立場だったらどうする?と息子に聞かれた。私なら嘘は言わない。その嘘が通って保険代などが上がらずに済んだとしてもそれは一時的なこと。自分の嘘で相手に罪を着せたという事実と生きていくのは重過ぎる。間違いをしたら償うしかないんだよ、と言っておいた。
— Single Rose (@Single_Rose2003) August 23, 2017
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