日本人に英語を教えていて、ひんぱんに遭遇する間違った単語の使い方があります。その中で特に間違いの多いもののひとつが「ほとんどの~」です。 ほとんどの人という時に almost peopleと言っていませんか。 初級レベルの学習ではほとんど全員、中級以上の方でも、間違った使い方で話している方が実はかなりいます。
almost の正しい使い方と、似た単語の most の違いを文法的に説明し、例文を多くあげてみますので、きちんと使えるようにしましょう。例文を読む際に、声に出して読む習慣をつけると定着率が変わってくるので、ぜひ実行してみて下さい。
目次
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「ほとんどの~」間違った使い方の例
以下の文章を読んでみて下さい。 いずれも「ほとんどの~」と言おうとしてます。
Almost Japanese like Sushi.
ほとんどの日本人は寿司が好きだ。
I like almost vegetables.
私はほとんどの野菜が好きです。
Almost colleagues were late for work this morning.
ほとんどの同僚が今朝遅刻した。
Almost classmates are going to college after graduation.
ほとんどのクラスメートは卒業後に大学へ行く。
何がおかしいでしょう? 下線を引いた部分を見てみると、どれも almost の後に Japanese, classmates, colleagues, vegetables という名詞がきています。
この almost という単語は「ほとんど」の意味の副詞で、あと少しで完全な状態、つまりまだ100%には達していない状態のことです。 副詞は名詞以外の語を修飾するので、この場合名詞の前に置いて直接修飾することはできません。almostは「ほとんどの」という形容詞 most とは違います。 mostについては後半で説明しますね。
almost Japanese というのは「ほとんど日本人」つまり日本人に限りなく近いけれど完全には日本人ではないようなニュアンス。almost vegetables は、ほとんど野菜だけど100パーではないような感じになっちゃいます。笑
では、どう変えたらいいでしょうか。 副詞が名詞以外の語を修飾するのにたいして、形容詞は名詞を修飾します。 ここでは取りあえず細かい説明は抜きにして、X almost + 名詞 と覚えてください。 ( X almost people )
almost の使い方
almost all
上記の文を almost を使って正しい文章にするにはどうするか。 書き換えてみます。
ポイント
almost all + 名詞、 または
almost all ( of ) + the/my/his/her etc. + 名詞 ( of は省略可能 )
almostの後に all + 名詞、または all (of) + the/my/his/her etc. + 名詞がきてほとんど(全て)の~と言い表すことができます。
almost all + 名詞と almost all + the/my/his/her etc. + 名詞の違い
では、次の二つの文章を声に出して読んでみてください。
ほとんどの子供はゲームが好きだ。
うちの近所のほとんどの子供は、ゲームが好きだ。
どちらも子供についての話をしています。 違いは何でしょうか。
ほとんどの子供はというのは、一般的な子供について話をしています。なので childrenには冠詞 the をつけません。それに対して二つ目の文では、うちの近所のほとんどの子供、と近所の子供に限定しているので the がつきます。
もう一つ例文を挙げてみます。
ほどんどの中華系マレーシア人は、少なくとも二か国語を話す。
私がペナンで知っている中華系マレーシア人のほとんどは、少なくとも3ヶ国語を話す。
一般的な中華系マレーシア人について言及する場合は all の後には冠詞は付けず、自分がペナンで知っている中華系マレーシア人、と限定する場合は the をつけます。
almost all of + 代名詞
ネットにたくさんのキムチレシピが載っていて、ほとんど作ってみた。
のように、後ろに代名詞がくる使い方もあります。
その他の almost
次に almost の後に every, any, no, etc. がくる例文をあげてみます。
almost + every ~ ほとんど全ての
ほぼ毎朝ヨガをします。
その事件について私が知っていることはほとんど全部あなたに伝えました。
クラスのほぼ全員が寮に住んでいる。
犬が私の行くところほとんど何処へでも付いてくる。
almost + any ~ ほとんどどんな〜
ほとんどどんなスポーツにも怪我の可能性はある。
腹ペコなのでほぼ何でも食べられる。
このクレジットカードは世界中ほぼどこでも使える。
この運動はすごく簡単なのでほぼ誰でもできる。
almost + no ~ ほとんど~ない
パーティに行った時にはもうほとんど食べ物が残っていなかった。
その記事のほとんどが事実ではない。
ニューベッドフォードに引っ越した時ほとんど誰も知らなかった。
私の通りにはほとんど駐車できるところがない。
このように almost の後に no ~ が続く場合は、文全体が否定の意味になりました。
almost + 頻度を表す語
次にalmostの後に頻度を表す語が来る場合の例文です。
almost + always ほぼいつも(100%に近い)
私の新年の抱負は、ほとんどいつも最初の数ヶ月で崩れる。
おばあちゃんはほとんど毎朝麦茶を飲む。
almost + never ほとんどない(0%に近い)
夜10時以降に運転することはほとんどない。この辺りはあまり安全ではない。
親友はほとんど便秘することがなくて羨ましい。
I’m jealous!は、ジェラシーでメラメラというイメージではなくて、軽く「羨ましい」「いいなぁ」と言いたい時に使います。
almost + 動詞 もう少しで~する/なる(ある状態まであと少しのところ)
学校に来る途中で車に引かれそうになった。(もう少しで引かれるところだった)
もう少しでアプリのダウンロードが終わる。
セミナーがメッチャ退屈で居眠りしそうになった。
彼は寝坊して飛行機に乗り遅れるところだった。
息子はもうじき16歳になる。
もうすぐクリスマスだ。
いずれも almost を nearly で置き換えることができます。
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most の使い方
最後に、most は、ほとんどの、大多数の、の意味の形容詞です。
ポイント
almost が副詞なので名詞を修飾できないのに対し
× almost people
most は形容詞なので、名詞を修飾することができます。
◎ most people
most + 名詞
一般的な話で「ほとんどの~」と言いたいときに用います。
most + 可算名詞 / 不可算名詞
世の中の学生のほとんど
大多数の親
ほとんどのレストランではクレジットカードが使える。
睡眠が足りていればほとんどの子供は朝、自然に目が覚めるものだ。
ここでのポイントは、一般的な話をする場合には、most の後に冠詞を付けずに加算名詞の複数形、または不可算名詞(数えられない名詞)が来ることです。
most + 可算名詞(複数形)
可算名詞の場合は必ず複数形にします。
ほとんどの犬は愛情深い。
× Most dog is affectionate. ではないことに注意です。
most + 不可算名詞
ルームメイトはほとんどの詩はつまらないと思っている。
most of ~
most of は一般的な話ではなく、ある特定の(限定した)もののうちの大部分を表す時に使います。
most of + the/my/his/her etc. + 名詞
私のスカイプレッスンのほとんどは50分です。
彼らは宿題のほとんどは終えた。
娘の学校の先生はほとんどが北米出身だ。
昨日買ったポテチを旦那がほとんど食べてしまった。
ポイント
most of + 名詞はありません。
X most of children
◎ most children
◎ most of the/my etc. children
almost all ~ と most ~ の違い
この記事の最初に出てきた「ほとんどの人」は almost all peopleの他に most people ということもできます。 ではこの二つの違いは何でしょう?
almost all ~ の方が most ~ より割合が多いイメージです。
「ほとんどの日本人は寿司が好きだ」は、厳密に言えば 、
「限りなく全ての日本人」の意味ならば Almost all Japanese like sushi.
「ほとんどの日本人」であれば Most Japanese like sushi. となります。
普通は「ほとんどの日本人」most Japanese の方が使われます。
almostとmost 練習問題
次の空欄には almost、almost all、mostまたは most ofのどれが入りますか。 複数可能な場合は全て選んでください。
- My dog __________ got hit by a car when I took him for a walk this morning.
- __________ children like chocolate.
- It’s __________ midnight.
- __________ the apartments in this building have been sold.
- The restaurant was __________ empty. There were only 3 customers.
- __________ us want quiet life.
- My grandma is __________ 95 years old.
- __________ cats have tails.
答え
1. almost 2. Most / Almost all 3. almost 4. Most of / Almost all 5. almost 6. Most of 7. almost 8. Almost all / Most
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まとめ
- most は形容詞で直接名詞を修飾できる。 ◎ most people
almost は副詞なので名詞を修飾できない。 X almost people - 「ほとんどの + 名詞」の言い方
一般的な話
most + 名詞 (例 most people)
almost all + 名詞(例 almost all people)
* 名詞の前に冠詞 the を入れない
限定(特定)された話
most of the/my/his/her etc. + 名詞
(例 most of my friends)
almost all + (of) the/my/his/her etc. + 名詞
(例 almost all(of)my friends)
* 名詞の前に冠詞 the か限定詞を入れる - most + 名詞の文で、名詞が可算名詞の時は必ず複数形にする。
◎ most college students
X most college student - most よりも almost all の方がより100%に近い数字であることを強調している。
almost all (of) my friends(友達のほぼ全員)
most of my friends(友達のほとんど) - その他の almost は後ろに every, any, no, always, never などを入れたり、 動詞がきて「もう少しで~するところだった」の意味になる。
今回は長くなりましたが、almostとmostの使い方の違いについて説明してみました。
例文を何度も声に出して読むようにすると、例えば almost peopleなどと聞いた時に、何だか変な感じがするようになってきます。頭の中で方程式のように当てはめて考えるのではなくて、ひと通り理屈がわかったらあとは何度も声に出して読む練習をするのが、英会話上達の近道です。
almost, most, almost all の音声付き例文はこちら↓
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almost, most, almost all の違いと使い方No. 46
日本人が間違{ ...
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