中国とミャンマー国境に近いラオス北部の山に、少数民族の村を訪ねるトレッキングに行った。
14歳の息子、私(母)、現地ガイドの3人で山の中を歩き、自然と共に生きる人々の暮らしに触れた旅の記録です。当時のツイートをアレンジしてまとめました。
以前ベトナムで出会った、西洋人バックパッカーの何人もが同じことを言っていた。 「ラオスは東南アジア最後の秘境!まだ旅行者が押しかけていないから、行くなら今のうちだよ!」
で、2週間の予定で、居住地、ペナン島 <==>ルアンパバンの往復航空券を買った。 詳細は決めていない。『山岳少数民族の村を巡るトレッキングに行きたい』とだけ思っていた。
(トレッキング1日目からの記事は「トレッキング初日」に飛んでください)
目次
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ルアンパバンから300キロ先のルアンナムターへ
プーシーの丘から見下ろすルアンパバン
ラオス北部の古都、世界遺産のルアンパバン (Luang Prabang) に飛び、しばらく滞在しながら、トレッキング情報を収集。
ルアンパバンから車で9時間北上したところに、ルアンナムター(Luang Namtha)という町があるらしい。中国雲南省とミャンマー シャン州と国境を接しているその町の周辺の山には、多くの少数民族が住んでいて、村の家庭にホームステイ込みのトレッキングができるようだ。
行き方を調べたら、バスか飛行機の二択。ラオスには電車がない、ということを知った。飛行機に乗る余裕はもちろんナイ。
で、ミニバン、300キロ、9時間の旅をすることになった。(汗
翌朝ミニバンに乗車したら、いきなりこれ。
足元にまでビッシリ荷物があって、足を置くところがない。
座席はすで埋まっているのに、次から次へと人を乗せる。2人分のスペースに3人、4人…
乗客は、私たち母子以外は皆ラオス人。
座席が足りなくて、こんな木のイスが投入された。お尻痛そう。笑
私のカラダ左サイドに16人分の荷物 + 膝を抱えた形でミニバンは出発した。
山道が穴ボコだらけで、スピードを落とさない車が激しくジャンプする。
そのたびに荷物の山がズリ下がり、私のスペースがさらに2/3に。必死で支えている首が痛い。
ランチ休憩
山の中をジャンプしながらひたすら走り、平地へ出たところで休憩。小さな売店があり、ラオス人はご飯を買ったりスナックを食べたりしている。
実は、朝食も食べていない。
聞いた話では、この道が舗装される前はこんなものではなかったらしい。 雨季は通行できないほどヒドイ道だったとか。
道路の山側斜面には、土砂崩れの跡がそこいら中にあってコワイ。
いきなり崩れてきたら、もうオサラバだ。
と思おう。
トレッキングの拠点ルアンナムター
跳ねまくり!頭ぶつけまくり!のドライブを経て、夕方にルアンナムター到着 (^-^)/
朝ルアンパバンを出て、9時間以上経っていた。
前日スマホで予約しておいたゲストハウスへ来てみたら、オーバーブッキングで部屋がない、と。『安宿あるある』だ。提携先の別の宿に案内されたけど、暗〜い雰囲気なのでノーサンキュー。探してここに落ち着いた。
Zuela Guesthouse
メジャーな予約サイトで1泊$25だったのが、予約なしで直接行ったら $20(¥2,200) に。ルアンナムターメイン通りの真ん中、静かでオススメ。自転車も借りられる。
ところで、ラオスの宿って自分から「宿代払いたいんですが」と言っていかないと何も言われない。ただカギをくれて、ハイどうぞ、みたいな。ルアンパバンでもそうだった。
パスポートも見せなければ、何のチェックもない。このまま泊まって、朝サッと消えてしまえるのに。他人を信用しているってことかしら。いいな ♡
Zuela Guesthouse 予約サイト
ゲストハウスすぐ前の、ナイトマーケットへ夕食に出た。
ラオス飯うんめぇ!牛肉米麺と豚ココナツミルク麺。
カゴに入れて出された、野菜と唐辛子を全部入れたらこうなった。笑
1杯 15,000kip(¥200)
揚げ春巻き 4個 5,000kip(¥70)
春巻きと言ったら = ベトナムだと思っていたけど、 ラオスにも!
タレが違って、ラオスのも辛くて美味しい。
グリルドポークが、外カリカリで中柔らかくて激うま。
8,000kip(¥110)
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トレッキングを決める
激疲れ9時間のミニバン旅から、一夜明けた。
朝から腕が痛くて動かない。
凸凹道のジャンプがひどく、ずっとつかまっていた故の筋肉痛。
今日はゆっくりして、明日からのトレッキングを決めよう。
ルアンナムターには、まわりの山へのトレッキングを扱う旅行会社がいくつかある。
グループで行く日帰りのトレッキングが、山歩きの難易度も低く、値段も手頃。 でも、団体行動が苦手なので、高くても個人ツアーで行きたい。
旅は日常の枠からの開放。
まわりに合わせず好きにしていたい。
ゲストハウスのお姉さんが、見慣れないものを食べていて、それ何ですか?と聞いたら分けてくれた。笹の葉に包んで蒸した餅米の中に、豆が入っていて、甘さはゼロ。カオトムというらしい。美味しい♡
トリップアドバイザーで評価が高かったツアー会社【 Forest Retreat Laos 】へ直接行ってみた。
代表者が少数民族出身で、ツアーの利益も少数民族のコミュニティーに還元されるという。(記事の終わりに情報を掲載しています)
『山歩きはほどほどに、少数民族の暮らしに興味があって etc.』こちらの希望を伝えて、山の地図を見ながらルートを話し合う。そしてトレッキング + 少数民族村訪問 & 滞在2泊3日の旅に決定。最終日はカヤックで川下りをすることに。
カヤック川下りをすすめられ、
以前ランカウイ島で、疲労困憊した魔のカヤック体験が頭をよぎる…
途中からカヤック専用のガイドをつけるから Don’t worry !
と言われ迷ったけれど、
僕 カヤックやりた〜い!
という息子のひとことに負けた。
2泊なので、荷物も当然増える。 泊まらせてもらう村の家には、食料、水、すべて持ち込む。
半年前のボルネオ島ジャングルトレッキングで、荷物の重さに泣いた私たち。特に飲み水。 今回水は3日分 × 2人なのでかなりの重量だ。
ポーターを付けることもできますよ!
と言われたけれど、その分費用がかさむのでやめた。頑張る!
シャワーはあるけど、ローカルスタイルシャワーね!!
今まで行った東南アジアの少数民族村で、シャワーはどこにもなかったんだけどな …トレッキングの旅は、ドロドロのベッタベタで帰るのがフツーだと思っていたけど。
ま、お楽しみってことで♪
ボルネオ島でのトレッキングはこちら↓
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【ボルネオ島 ジャングル体験】ハンモック一つでジャングルに泊まる!
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トレッキング初日
ルアンナムターの市場
翌朝、タイダム族のガイドさんと落ち合い、まずは3日分の食材を調達しにルアンナムターの市場へ。
水牛の皮。焼いて内側を食べると美味しいそう。
このヘビのような生き物はナニ?
蜂の子とタケノコ。
ラオスではタケノコを使った料理が多い。
水生昆虫は、炒め物に。Gかと思った。笑
豚の血を固めたものは、スープに入れる。
トレッキングスタート
食材が揃ったところで、ルアンナムターの町からトラックで30分くらい行き下車。山の中へ入る。
鉈を片手に進むガイドさん
山の民に大事なラタン(籐)の木。これはまだ若いものだそうだ。
大きくなると中身は食べ、幹でカゴを作り、葉っぱは家屋の屋根に、長い木は橋を作るそうだ。後に滞在した村のいたるところで、このラタンが使われた生活用具を目にした。2枚目は、染物に使う植物。紫系の色になるそう。
山の中をたくさん歩いて疲れてきた。
市場のお惣菜屋さんで買ったお弁当を食べる。
• チリ入りスパイシー卵焼き
• トマトのディップ
• 焼きナスのペースト
• チキン
• もち米
どれも絶品!
山の中を登って下って4時間ほど歩き、ようやく視界が広いところへ出た。
カム族の村
カンボジアにルーツがあるというカム族の村に到着。
45家族の小規模な村。電気もテレビもない。電池やロウソク、調味料などの他は殆ど自給自足だそう。
子供達は裸足で駈け回り、大人はカゴを編んだり薪を切ったり、生活に必要なことをやりながら、のんびりしている印象。
村をひと周りしてみたところで息子がつぶやいた。
なんかみんな座ってるだけだねぇ… 笑
ガイドさんの話では、この村はとても平和だそうだ。
必要な仕事は協力し合う、持ちつ持たれつの社会。
家を建てるのも、村総出で3日で完成。
終わればお酒を飲んで大宴会。
ガイドさんのタイダム族は違うらしい。 畑仕事や家畜の世話など、労働力を提供してもらったら賃金が発生する。 「僕はこの村に住みたい」と言った。
泊めてもらった家の寝床。
到着後すぐに爆睡する息子。トレッキング疲れたよねぇ。
この家では部屋は一つだけなので、ここは居間 兼 寝室。家の人もガイドさんも皆でここに寝る。
天井に蜂の巣を発見!悪霊から家を守るらしい。
家の外にあるトイレ。
ベトナム山奥のトイレ覚えてる〜?あれに比べたらゼンゼン楽勝だよ!
と息子。あの旅で、息子はトレッキング初体験。
登山がめっちゃハードな山奥の家へ行って翌日、嘔吐下痢で大変だったわ … 便器のない、土に穴を掘っただけのトイレから動けず、大雨の中、何時間もトイレ脇に付き添った。
親として、あんな慣れないところに子供を連れてきてしまい、胸が傷んだ思い出 …
山で捕まえて来た動物は、全体でシェアするのがこの村のやり方だと聞いた。イノシシやモグラ、ネズミ、蛇、鳥 etc.何でも食べる。
誰かがゲットして来たモグラが、これから食べられちゃうところ。モグラは、タケノコやチリと煮てスープにすると美味しいんだとか。
ラオス料理を作る
台所
この囲炉裏の上にあるすすけた平たいカゴで、山で捕まえてきた動物の肉を薄く切って燻す。電気のない = 冷蔵庫がない村で、肉を腐らせない工夫。
でも腐る寸前の肉が、強烈に臭くて美味しいんだよね!
ラオス料理の基本
にんにく、チリ、レモングラス、ミント、コリアンダー、ネギ etc.でラオスチリペーストを作る。ますは、にんにくとチリを直火でで焼く。
焼いたにんにくとチリをつぶすガイドさん。
他の材料を細かく切ったものを息子がバンバンつぶす。
野菜を炒める。外が暗くなってきた。
ヘッドライトで照らしながら料理する。
ラオスご飯完成!
家の人たちと囲むキャンドルライトの夕食。
• 竹の子の炒めもの
• トマトのピリ辛ディップ
• 豚肉のチリソース炒め
• 山で採ってきたキノコ和え
• もち米
ラオスの家庭料理は、日本人の口に合うと思う。デパチカで売ったらウケるぞ。
ラオスの男性はほとんど料理はしないそう。でも、ガイドさんは料理好きなのでよく作る。奥さんの味付けは薄味すぎて好きじゃないとか。
料理して、盛大に散らかした後を片付けるのはマイワイフ、ハッハッハッ!
その後、家族の話をしていたら、実は奥さんは2日前に実家へ戻ったと言う。
結婚生活なんてそんなもんよ、ハッハッハッ!
付近の山に暮らす少数民族
ラオス北部に住む人々とその暮らしについて、ガイドさんの話を聞く。
同じ少数民族でも、アカ族は風習、信仰、言葉など文化的に大きく異なり、例えば他の民族との結婚などはとても少ないそう。
ラオスでは、教育は無料と言っても制服、教科書代、設備費の寄付などがあり、実際はお金がかかる。親は子供に教育を受けさせる為、何とかお金を工面しようとする。
教育を受ければ、公務員になったり町で仕事を得てお金を稼げるようになるからね。
この村には小学校しかなく、中学へ進学する子供は町へ出て、寮生活をするそうだ。… とは言え、教育を受けて高校の教師をしているガイドさんの奥さんは、月給にして$200(¥22,000) ほどだそうで、楽な暮らしではない、と。
色んな話をしながら、夜は更けていく。
村の人たちがどのような暮らしをしているのか、知りたいことが山ほどある。彼のように、英語で細かいことまで説明できるガイドさんの存在はありがたい。情報量が多く、深く、旅の印象も強くなる。
この彼は『ガイド資格を持ち、欧米人研究者の現地調査アシスタント兼通訳も務めるベテラン』だとトレッキング会社の人に聞いていた。
ベトナム北部サパなどで、直接交渉して雇うガイド兼ホームステイホストとは、言葉の問題からそれほど深い話は出来なかった。
お金を出しても、プライベートトレッキングには価値があると思う。
夜遅くなり、ロウソクの灯りの元で、この家庭の16歳になる娘さんが熱心に袋を編んでいた。売り物にする袋らしい。
小さい頃に母親を亡くしていて、同じ村に嫁いだお姉さん2人が家を出たので、父親の農作業を手伝う為、中学校を中退せざるを得なかったという。
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2日目
土砂降りの雨が、一晩中続いた翌朝。
またもほとんど眠れなかった。興奮し過ぎ。笑
トレッキングの旅はいつもそう。
この村には、各家庭に水道はない。村の水場にバケツやタンクを抱えて、村人が絶えず水汲みに来ている。朝は水浴びをする人や、顔を洗い歯を磨く人たちでいっぱい(奥の子供洗ってる女性の所)
20年くらい前に他国のNGO団体が入り、離れた町に病院が出来るまでは、この村の平均寿命は50代前半だったらしい。それでも今なおシャーマンは健在。山から様々な薬草を採ってきて、煎じて飲んだりもするそう。
ラオスチリペースト入りの激うまスクランブルエッグと、もち米で朝ごはん。
山を見ながらインスタントコーヒーを飲む息子。
さて、ご飯が済んで、トレッキング2日目のお弁当を作り。
この家の人たちがラタン(籐)とナスを焼く。
緑のナスの奥に並んでいる、ゴボウのようなものがラタン。 トレッキング最中に、そこら中に生えていたあれ。
焼き上がって皮を外すと中身はホクホクの若タケノコのよう。これだけでとても美味しい。ラオスチリペーストと混ぜると更に引き立つ。
もう一品は焼きナスのピリ辛和え。やり方を教わる息子。
ラオスの家庭料理には、チリペーストが入っているものが多く、どれも美味しい。
辛いモノ好きな私たち親子には、ご馳走ばかり。
ガイドさんの話では、村人が山へ入る時は、もち米と唐辛子だけ持って行く。他は現地調達らしい。
そういえば、昨日のトレッキング中に、様々なフルーツや野菜など、そこらへんにあるものを食べた。特にキノコは種類も多く立派なものがたくさんあった。
毒キノコかどうかは、ガイドさんや村人にはわかるそう。 初めての種類だったら、ゆでてみて色が出ればアウト。
村の全景
仕事のストレスにやられ退職し旅に出たドイツの青年が、穏やかなこの村の生活に涙したという。カム族の村、さようなら。
少数民族村トレッキングの旅をアレンジしたもらった Forest Retreat Laos のサイトはこちら ↓
https://forestretreatlaos.com/
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